ナミビアと特別支援教育(障害児・者支援) JICA海外協力隊
ナミビアの特別支援教育について、見たことなどを記していきたいと思います。
ナミビアにも特別な支援を要する子どもたちは多くいる印象です。ダウン症の子どもが通常の学級に交じって授業を行っている場面を見たことがあります。
授業を見た感じは、Inclusion(インクルージョン)というよりは、Integration(インタグレーション)という感じでした。
簡単に言うと、インクルージョンは、個々に必要な教育的な支援をしながら、通常の子どもたちと一緒に教育を行っていく。
インタグレーションは、教室にただ支援が必要な子どもが存在しているだけの教育。
このような感じになってしまっている印象でした。
特別支援学級のある学校では、ある程度個々に応じて教育がなされているという印象がありました。それでも、絶対的に特別支援学級、特別支援学校が少なく対応しきれていないというのが現状です。
私が日本で特別支援学校に勤めていた経験があることから、JICAの現地職員とともに特別支援学校の視察と新しいJICA海外ボランティアの新規案件の募集のお手伝いをさせてもらいました。
ナミビアは特別支援学校そのものが少なく、大きな都市にしかありません。その中でも、モーレソン特別学校(Moreson Special school)とEluwa Special School(エルワ特別学校)の2校の特別支援学校を視察させてもらいました。
モーレソン特別学校(Moreson Special school)は首都ウィントフックにあり、JICAに提出した書類の一部を抜粋して紹介します。この文章が基になって、新規案件が作られました。
「モーレソン特別学校(Moreson Special school)」
- ダウン症、知的障害、自閉症、その他障害の生徒が在籍している。
- 1クラス約20人の生徒に教員が1人で教えており、すべての生徒に目が行き届いていなかった。(授業中にずっと積み木で遊んでいる生徒が何人かいた。)
- 静かにする場面では口を閉じることができ教員の言うことは聞き、生徒たちの規律は守られているようであった。
- 授業をしている先生は教員免許をもっておらず、心理専攻をした先生が教壇に立っていた。
- ドイツ人ボランティアが入っており、短期(3か月)の学生ボランティアで、体育を担当していた。年間を通して授業を行うのであれば、JICAボランティアが入っても良いと思うが、特別支援学校での経験があった方が良いと思われる。
- 将来役立つような技術を身に付けることが大切であるため、そのよう作業の授業も取り込まれていた。農業、陶芸、レンガ造り(建築?)など、作業の授業があった。
- Life skill(生活単元学習)の授業もあったが、実際の生活とリンクしていないのではないかと思った。例えば、授業で洗濯機の回し方を練習するということを言っていたが、実際に生活していく上では手洗いでの方法を身に付けた方が良いのではないかと思った。日本では、衣服の着脱などの練習も行うがそのようなことは組み込まれていなかった。
- 日本では、個別の支援計画を作成しなければならないが、そのような将来を見据えたものを作成していなかった。
- 特別支援学校に従事したこと(3年ほど?)のある方にボランティアが入るとスムーズに取り組むことができると思う。日本の特別支援学校では、少人数で授業を行い、個々に沿った授業を行う姿勢があるが、絶対的に教員数が少なかった。
もう1校は、Eluwa Special School(エルワ特別学校)で、Ongwediva(オングウェディバ)という街で、北部の街の中でも発展しており、大きなモールや映画館などがあります。
長期休業中に視察させてもらったので、子どもたちの様子はわかりませんでした。
先生方とお話しした感じは、ボランティアは一人の教員というよりは、現地の先生と協力しながら行っていくことが必要であると感じた。
・聴覚の問題がないため、通常の小中学校と同じように教育しているという印象。
・手話は日本と違うため、手話を同時に覚えておく必要性もあると感じた。
オカハオで私の活動の説明や日本の特別支援学校の様子やJICA海外ボランティアが何ができそうなのかということを校長先生や教務の先生や教科の先生に説明をしました。
ナミビアの教育方針として、インクルーシブ教育を進めていく方針なので、特別支援教育の普及が今後進められていくと思われます。