ナミビア 〜Nombili のんびり〜

タイトルの「Nombili のんびり」とは私が活動している 地域のオシワンボ語の挨拶で「平穏」「穏やかな」という意味です。世界が平穏であってほしいと願いこのタイトルにしました。青年海外協力隊として活動しながら、大学院にて開発学についても学んでいます。様々な角度から綴っていきたいです。

国際協力に興味のある方「ユネスコESD世界会議(名古屋)」について知っていますか?

開発学を大学院で学んでいた際に『ESD(Education for Sustainable Development)についてまとめたものを載せたいと思います。

  

 ⇒「ユネスコESD世界会議(名古屋)」とは名古屋で2014年に実施された国際会議です。

名古屋市:持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議について(市政情報)

 

『ESD(Education for Sustainable Development)
1. ESD(Education for Sustainable Development)とは?
ESDはEducation for Sustainable Developmentの略で「持続可能な開発のための教育」と訳されています。(注1)
今、世界には環境、貧困、人権、平和、開発といった様々な問題があります。ESDとは、これらの現代社会の課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことにより、それらの課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出すこと、そしてそれによって持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動です。つまり、ESDは持続可能な社会づくりの担い手を育む教育です。』

www.mext.go.jp

 

1)開催に至る背景

ESDに関する経緯として、外務省が以下の通り述べている。

(1)「持続可能な開発」のために教育が極めて重要な役割を担うことについては、1992年に開催されたリオ・サミットの際にも認識されており、同サミット後、国連持続可能な開発委員会(CSD)においてユネスコが中心となって「持続可能な開発」のための教育のあり方について検討が進められた。

(2)ヨハネスブルグ・サミット実施計画の交渉過程で、国内NGOの提言を受け、我が国が提案し、各国政府や国際機関の賛同を得て実施計画文書に「2005年から始まる『持続可能な開発のための教育の10年』の採択の検討を国連総会に勧告する」旨の記述が盛り込まれることとなった。これを受け、我が国より、第57回国連総会に「持続可能な開発のための教育の10年」に関する決議案を提出。我が国の働きかけにより、先進国と途上国の双方を含む47ヶ国が共同提案国となり、満場一致で採択された。1

地球サミットがリオ・サミットで「アジェンダ21」が採択された。これは、「2030アジェンダ」につながるもので、持続可能な開発のあらゆる領域における包括的な地球規模の行動計画である。そして、「国連持続可能な開発のための教育の10年」の最終年である2014年11月に、ユネスコ及び我が国の共催により、愛知県名古屋市及び岡山市において「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議」が開催された。

 

2)設立・開催年など事業の概要

ESD ユネスコ世界会議は2014 年11 月10 日から12 日に、世界150 カ国・地域から閣僚級、ユネスコ加盟国の政府代表、NGO、研究者など1、000 人以上が参加し、ユネスコと日本政府の主催により名古屋国際会議場で開催された。会議では、「国連ESD の10 年」の活動成果の確認が行われるとともに、2015 年以降のESD の取組みを推進していくための「グローバル・アクション・プログラム」が発表された。また、会議宣言として、ESD のさらなる強化と拡大のための緊急の行動を求める「あいち・なごや宣言」が採択された。

 

3)ユネスコESD世界会議(名古屋)の活動に与えた影響

教育はSDGsの目標4に位置付けられており、ESDは目標4の中のター ゲット4.7に記載されている。しかし、教育については、「教育が全ての SDGsの基礎」である。特に、ESDは持続可能な社会の担い手づくりを通じて、17全ての目標の達成に貢献するものである。ESDをより一層推進することが、SDGsの達成に直接・間接につながっているといえる。また、SDGsを、ESD で目指す目標が国際的に整理されたものとして捉えることもできる。とあり、SDGsの中にESDが位置付けられており、切り離すことはできない。また、ユネスコにおいても、ESDに基づいて活動している。文部科学省及び日本ユネスコ国内委員会では、ユネスコスクールをESDの推進拠点として位置付け、世界180か国以上の国・地域で11,000校以上のユネスコスクールがある。

 

4)国際機関の活動の有効性に関する課題

有効性として、NGONPO、企業等による、地域の特性に合った多様なESDの実践や、ASP UnivNetが形成され、大学によるユネスコスクールの支援の体制が構築された。

ASPUnivNetとは - ユネスコスクール 公式ウェブサイト

ESDの学校での課題について以下のように述べられている。「国連ESDの10年」を通じて、ESDは、特にユネスコスクールを中心として取組が推進されてきたが、持続可能な社会の構築は、社会全体で取り組むべき課題であり、ユネスコスクールに限らず、全ての学校において取り組むべきものである。一方で、より広く学校現場でESDを推進するには以下のような課題がある。

○ESDの概念が抽象的であり、また、環境、平和、国際理解、人権等、多岐にわたる分野を包含するものであることから、一般的に十分に理解を得られているとは言えない。

○ESDが、既存の教科等で学んだ知識を総合的に活用し、課題の解決に向けて生徒が自ら考え、行動することを促すものであり、教科間のつながりや地域の人とのつながりを大切にするものであるという趣旨が十分に理解されず、付加的なものとしてとらえられることが多い。

○学校現場でどのような学習活動を行えば良いのかについての十分な情報がなかったり、適切なカリキュラムの編成上の工夫がなされていなかったりするために、体系的・継続的な学習がなされず、ESD的な活動を行っているにもかかわらず、ESDの目指す資質・能力の育成につながらないことも多い。

○ESDに熱心な教員がいても、異動等によりその取組が継続されなかったり、校内における理解が十分に得られず、教科横断的な取組が困難となるなど、必ずしもESDが学校内で組織的に実施されていない。

○学校現場での効果的なESDの実践のためには、教職員の意識・指導力の向上が不可欠であるが、ESDに関する教員研修が十分ではない。

上記のように、述べられており、日本の学校にて勤めている際に、感じたことと重なる点は多い。学習指導要領に盛り込まれているという点もあるが、すでに述べられているように、抽象的なことも多いと考える。また、こうした問題に、文部科学省や各自治体の教育委員会等が連携を図り、教員そして子どもたちの末端まで浸透していくことが必要であると考える。

 

 

5)「ユネスコESD世界会議(名古屋)」への日本の関わり方に関する私の評価

 ユネスコESD世界会議が、日本で行われており、「あいち・なごや宣言」にあるように、日本での開催に対して、謝辞を送っている。日本はこのESDに対する意識は高いように感じる。しかし、この「あいち・なごや宣言」やユネスコESD世界会議のことを知っている日本人が何割ほどになるのだろうかと率直に疑問に思った。この世界会議が行われた際、すでに教員として勤務していたが、学校の教員まできちんとした周知が行われていた記憶はない。教員にこのような周知がなければ、子どもたちに伝えるということもできない。

 名古屋市が作成したパンフレットを読んだが、学校への周知という文面は見当たらなかった。「Education」という文字が入っている以上、教員など教育関係者への周知や学習会などが行われる必要があったように思う。関心のある人だけのものにするのでなく、地道に取り組み少しずつ草の根のように、輪を広げていく必要性がある。

また、私はナミビアで学校教育にかかわる活動を行った。そういった意味では、すでにこのJICA海外協力隊活動というのは、ESDの提言していることを行っていると感じる。

 私はナミビアで「教育」の向上ということで現地の学校を巡回し、現地の先生方日本の手法を紹介したりワークショップを行なった。開発途上国の先生と直接コミュニケーションをしてきた立場として、今度は日本の子どもたちに「豊かで安心した生活を続けていくためにどうしたら良いかを考え、行動する人を増や」していきたいと思う。

 このESD世界会議では、取り決めを決めたところで、加盟国でない国や、戦争、紛争をしている当事国である場合などには、日本の関わり方は難しいように思う。その他に、中国の政治的な正当性によって、開発途上国スリランカに返済できないほどの金額を借金させ、港湾のインフラ整備を行い99年譲渡するという内容の契約をさせてしまったというニュースや、持続可能な開発よりも自国の利益を優先するというような社会情勢もある。そうした中でも、初めに述べたように地道に、NGOや日本のJICAのような組織などが、海外への支援や国内などの周知などを通して、ESDに取り組む必要性があると考える。

 

参考文献

1.「国連持続可能な開発のための教育(外務省)」

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/edu_10/10years_gai.html

2.「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議について」

http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/53-5-22-5-2-0-0-0-0-0.html

3. 「今日よりいいアースへの学び 持続可能な開発のための教育(ESD)の更なる推進に向けて」

http://www.esd-jpnatcom.mext.go.jp/about/pdf/message_01.pdf

4.「日本ユネスコ国内委員会(文部科学省ユネスコスクール」

http://www.mext.go.jp/unesco/004/1339976.htm

5.「ESDの推進にあたっての課題の整理及び推進方策についての論点ペーパー(案)」

http://www.mext.go.jp/unesco/002/006/002/012/shiryo/attach/1358530.htm

6. 「日本ユネスコ国内委員会(外務省)ESD(Education for Sustainable Development)」

http://www.mext.go.jp/unesco/004/1339970.htm