ナミビア 〜Nombili のんびり〜

タイトルの「Nombili のんびり」とは私が活動している 地域のオシワンボ語の挨拶で「平穏」「穏やかな」という意味です。世界が平穏であってほしいと願いこのタイトルにしました。青年海外協力隊として活動しながら、大学院にて開発学についても学んでいます。様々な角度から綴っていきたいです。

海外(ナミビア)で事例検討会PCAGIP法を実施する前に

事例検討会PCAGIP法とは

事例検討会PCAGIP法の実施方法と論理

PCAGIP法は、2006年に村山が開発しており、臨床心理学専攻の大学院生、教育現場、医療領域、管理職などに実践し有効性を実践的に確認[1]している。学校現場でできる事例検討法の必要性があったことから、以下で説明する「パーソン・センタード・アプローチ」の考え方と「インシデント・プロセス法」の手法を取り入れている。一般的な事例検討会は、事例提供者が事前に詳細な資料を準備する必要がある。「学校現場の多忙な教員は、(中略)資料作成と方法と事例検討の仕方にはなじみにくく、時間的にも無理である。多忙で時間がないので事例資料の準備ができない」(村山・中田[2012:19])ことや、第1章でも述べたように事例提供者が批判の的になってしまうことや、教員同士の理論闘争になってしまうなどの問題があり、新しい事例検討法として開発された。

 

基本姿勢

  • 参加者が中心でつくっていくこと。
  • 参加者から出される多様な視点を学べること。
  • 参加者の相互啓発プロセスであること。
  • 参加者とファシリテーターは共創であり、参加者を「リサーチ・パートナー」とみなすこと。
  • 確定した結論が出なくてもよいこと(事例提供者にヒントが生まれてくることが大切である)。

視点

  • 基本仮設・PCAの人間観関係論を尊重する。
  • 事例手強者の自己実現の方向性を大切にする。
  • カンファレンスの場をコミュニティとみなす。
  • カンファレンスの場をエンカウンター・グループの場とみなす。
  • ファシリテーターは事例提供者を含む参加者全員の暗視官官を高め、相互作用を促進する。
  • 参加者は、事例提供者と共同で、解決の方向性を探索するリサーチ・パートナーである。
  • プロセスを尊重する。
  • 結果が出なくてもよい。事例提供者のヒントになることが出ればよい。

定義

「事例提供者の提出した簡単な事例資料をもとに、ファシリテーターと参加者が協力して参加者の力を最大限に引き出し、その経験と知恵から事例提供者に役立つ新しい取り組みの方法や具体的ヒントを見いだしていくプロセスを学ぶグループ体験である」村山(2012)

構造

  • グループは、事例提供者、ファシリテーター、記録者2人、メンバー8人程度で構成する。
  • 情報の可視化と情報共有のための黒板(ホワイトボード)2枚を用意する。
  • 参加者は、全員に黒板(ホワイトボード)が見えるように円陣をつくる。

プロセス

  • 事例提供者を、被告にしない、批判しないこと。
  • 記録をとらないこと。

第1ラウンド

  • 事例提供者は、事例を提供した目的、困っていること、どうしたいかを簡単に述べる。
  • 参加者は、事例提供者と事例をめぐる状況を理解するために、事例提供者に質問し、その反応を記録者が黒板(ホワイトボード)に記録する。
  • 発言者は順番を決めて、1人ずつ順番に発言していく。その発言に刺激されて、次の発言者が質問していく連鎖を展開する。2~3巡程度で、1時間ほど経過する。
  • ファシリテーターはほどよいところで、黒板(ホワイトボード)の状況を整理する。

第2ラウンド

  • 第1ラウンドより事例提供者、参加者間に安心感が出てきて、雰囲気が和らぐ。
  • 情報の整理に伴い、浅い質問から深い質問、事例提供者に関する個人的質問などが出てくる。
  • ファシリテーターは、多様な見方が出てくるように、自由な雰囲気をつくる。
  • 50分程度で、事例提供者と事例をめぐる状況の全体像が出てくることが多い。これを「ピカ支援ネット図」と呼んでいる。ファシリテーターは、これを整理し、メンバーに伝える。これで事例提供者に必要な方向性が見えてくることが多い。

クロージング

  • このピカ支援ネット図をみんなで共有しながら、事例提供者がPCAGIP体験プロセスの感想を述べてもらう機会をつくる。それをみんなで共有して終了する。
  • 時間があれば、参加者各自の感想を述べてもらう。

村山正治・中田行重(2012)「新しい事例検討法PCAGIP入門 パーソンセンタード・アプローチの視点から」P32~33

 

PCAGIP法の論理

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引用・参考文献

村山正治・中田行重(2012)「新しい事例検討法PCAGIP入門 パーソンセンタード・アプローチの視点から」P45~48

[1] 村山正治(2011)パーソンセンタード・アプローチの挑戦 現代を生きるエンカウンターの実際p307

 

 

 

   修士論文からの抜粋になります。執筆やブログ等に引用する際は、ご連絡ください。

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